西澤保彦『方舟は冬の国へ』(ISBN:4334075746)

読了。SFとみせかけてミステリという作品が多い氏であるが、これはミステリと見せかけてSFという感じの作品。まあ十八番の日常の謎ディスカッションも随所にちりばめられていてそれなりに楽しめるが、全体としてはミステリではない。まあこれは後書きで御本人もそう書いていたのだが。

ただ物語としてはサスペンスあふれるいい作品だと思う。ミステリが常に予定調和的であるのと対照的に、悲劇の予感だけがあってどこに落ち着くのかわからないストーリーには、久々にページをめくる指が速くなるのを感じた。