麻耶雄嵩『蛍』(ISBN:434400664X)

読了。麻耶作品らしい恐怖と狂気を持った傑作。二重に仕掛けられたトリックも、ひとつならば平凡だが組み合わせることで効果は二百倍ほどになって見事。まあフェアの領域内でしょう。ややネタバレ的なことを言うならば、某人の「共犯者」に対する気持ちが表れないのはアンフェアといえばアンフェアかもしれません。

あと、作品中に出てくる「タカタカタ・タータ・タカタカタン」というリズムが精神を狂わせるとかいう話は、太宰の「トカトントン」とかそのあたりからの着想でしょうかね?読んだことはないんですが。