法月綸太郎『法月綸太郎の功績』
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/06
- メディア: 新書
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『生首に聞いてみろ』が無性に読みたくなったのでとりあえず順番にと思い、短編集の続きを買って読んだ。(続きを読む以降は原則ネタバレあり)
「=Yの悲劇」
おなじみ『Yの悲劇』系ダイイングメッセージもの。法月綸太郎は天才的名探偵でも振り回される傍観者でもない微妙な立ち位置にいるキャラクタだと思うが、それが逆に心地よいリアリティを醸し出している。ここでも、与えられた条件の中で整合性のある結論を出しているものの、その後の捜査によってその結論が否定されてしまうという場面があり、このあたりの書き方が嫌味でなく軽いサプライズで良い。
「都市伝説パズル」
怪談的都市伝説をモチーフにした作品。謎解き自体は比較的簡単な部類だろうが、最後の一段がこの短編を非常に印象深く終わらせている。個人的には好きな一編。
「ABCD包囲網」
ある事件において犯人ではありえない人物が警察に自首してくる「自称犯人」をモチーフとした作品。ワンアイディアといった趣だが不思議が全面に出ているので面白く読めた。どうでもいいがこれや「縊心伝心」なんかを見ると法月綸太郎の女性観が見えるようで微妙。
その他「中国蝸牛の謎」「縊心伝心」を所収。全体としては満足できる内容でした。ちなみに今は『生首に聞いてみろ』を読んでます。