最近読んだ本

劉鶚著・岡崎俊夫訳『老残遊記』(ISBN:4582800513

最近聴きに行った研究会で扱われていたので読んでみました。20世紀初頭に中国で書かれた所謂「譴責小説」。ただし、十五回から二十回までの部分などは西洋のミステリを意識した「探偵小説」にもなっている。

この話の大団円は、真犯人を見つけだした後に、死んだと思われたいたが実は仮死状態であった人々を主人公の老残が「返魂香」なる秘薬で生き返らせる、というものだが、ただの毒とせずにわざわざこういう終わらせ方にしたところが不思議だ(というのが研究会での発表のテーマでもあり、包公説話との関連や劉鶚の職業作家としての自覚からそれを説明しようとするものであった)。

ただ個人的な意見としては、ミステリにおける探偵の役割というのは真犯人を見つけることではなくて、「秩序を回復すること」にあると思っているので、そういう点からすると特に不思議ではないかもしれない。

島田荘司『Yの構図』(ISBN:4334711693

中学生の自殺に関わる殺人事件をおなじみ吉敷刑事が解決するという話。表題の通り、『Yの悲劇』意識した作りになっている。そこをわかって読むと面白いかもしれないが、普通に読むとわりと普通のミステリで、そんなに凄いとは思えないのが難点か。ミステリ界でもやはり古典を知らないと深い典故がわからないというのは、面倒ではあるが面白いところでもある。

久米田康治かってに改蔵(26)』(ISBN:4091264662

ついに最終巻。よくぞ26巻も続いたという感じです。最終回および大蛇足は賛否両論いろいろあるようですが、僕はああいう展開に弱いので、とりあえず良かったと思います。まあもっと他の終わらせ方もあったとは思いますが。