夏目漱石『坊ちゃん』(ISBN:410101003X)

読了。これまで日本の近代文学にはまったく興味がなかったんですが、外国に長く住むということで、まあなんとなくとりあえず夏目漱石でも読むか、と思い、読んでみました。

あまり面白くはないし、結末も見えていて比較的退屈です。なぜこれが長く読み続けられているのか難しいところですが、やっぱりここで描かれているような人間関係のあり方が変わっていないからでしょうかね。

あと、決して悪いわけじゃないんですが、読んでいて腹の立つ本なんですね。社会に対する不満に満ちあふれていて。そういう意味ではこれはやっぱり近代の所産なんだろうなと思いました。

もう一つ、新潮文庫版の解説では特に触れられていなかったのですが、生徒の描写が非常に特徴的だと思いました。やたらと腹立たしい生徒たち。赤シャツが近代かぶれ的なものの象徴で、野だが町人の象徴だとしたら、やっぱり生徒たちは農民の象徴なんでしょうかね。まあ当然研究はあるでしょうから、気が向けば探してみるかもしれません。