夏目漱石『三四郎』(ISBN:4101010048)、『それから』(ISBN:4101010056)、『門』(ISBN:4101010064)

しょぼしょぼと読み進めてきた三部作をようやく読了。

なんというか、高校生とか、中学生で読んでもなにも響かなかっただろうなあ、という感想。僕は自分で言うのは恥ずかしいですが、どちらかというと成長が遅いほうだと思いますので、若い頃にこれを読んでもなにも残らなかったと思うし、多分途中で読むのを止めてしまっていたと思います。まあ、今読んでなにか残ったかと言われると難しいですが。

「本を読む時期」というのは非常に微妙な問題ですね。「本を読む自分」の状態が感想や評価にも影響しますし。中高生の頃に読みたかったな、と思う本もありますし。

僕は経験第一主義者ではないですし、むしろ逆に積極的に経験を軽視していく姿勢を取ってみせる方ですが、「経験しなければわからないこともある」ということを否定するつもりはありません(無論、本を読まなければわからないこともいくらでもありますが)。

といっても僕に三角関係の経験があるわけではないのであしからず。というよりも、僕にはこの小説、特に最後の『門』は、「普通に、静かに、平穏に生活することの難しさ」を描いたものだと感じました。感傷的になっているのは体調が悪いからかもしれませんが。

あと、新潮文庫版で読んでいるのですが、柄谷行人の解説がどれもまとはずれのように思えて仕方ありません。どうなんでしょうか。