京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』(ISBN:4062754991)

読了。お馴染み京極堂シリーズの文庫版最新刊。ノベルス版ではすでにもう一作新しいのが出てるんですが、このシリーズはなぜか文庫版しか買ってません。

正直中盤まで行かないくらいにネタがもろにわかってしまったので、あとはそうでない解法の可能性を探す旅だったんですが、結局まあそれしかないよなという形の結末でした。このシリーズでここまで予想がついたのは初めてだったんで、逆に吃驚というか。正直物語としては物足りなかったです。というかわかった後に600ページあるのはある種の拷問です(笑)僕は京極作品の最高峰は『鉄鼠の檻』だと思っているんですが、あれを超える作品はもう望みえないのかなあ、と思ってしまいました。まあハードルがかなり上がっているというところもあるとは思いますが。

周辺的な事項としては林羅山のあたりの話が面白かったです。江戸初期における儒学と仏教の関係なんかはそのうち論文でも読んでみたいなあと思わせるものでした。ハイデガーはあまり好きではないので微妙でしたが、結構みなさんハイデガー好きな人多いですよね。関係ないですが、僕は好きな哲学者を一人と言われたら、ヒュームになるでしょう。最初に『人性論』であるところがとてつもなく正しいと思います。まあ好みの問題ですけど。