池田晶子さん死去(asahi.com)

ミュンスター再洗礼派研究日誌経由で知りました。まだ若い人なので吃驚しました。

上記新聞では別の本が取り上げられていますけど、僕にとっては池田晶子といえばソクラテス三部作(『帰ってきたソクラテス』『悪妻に訊け』『さよならソクラテス』)と『考える人-口伝西洋哲学史』です。僕は高校生の時にこれらを読んで、今の人格の少なくない部分が形成されました。その後何年か経って読み返してみると、ダイアローグという形式に潜む誘導性や、池田晶子が尽くせていない部分も見えてきはしたのですが、だからといってこれらの本の価値がなくなったかというとそうではないと思います。思えばこれらの本は僕が世の中というものを考えた最初の経験だったのかもしれません。

ある時期から僕はこの方の本を読むことを必要としなくなり、新刊を買わなくなって十年近くなります。別にそれを後悔はしていませんが、もう少し長く生きて、『帰ってきたソクラテス』の最後の死に関する三編の当たりをもう少し深めて展開してほしかったです。

人生は時に短いですね。生き急がないとなあ。