小松左京『日本沈没』上下(ISBN:4094080651、ISBN:409408066X)

読了。「SF」として楽しめたというよりも、「国とはなにか」「国がなくなるとはどういうことか」について考えさせられた本でした。

特に現状海外にいる身としては、明日朝起きた時「日本」という国がなくなっていたら、ということを考えると背中に冷たいものを感じざるをえません。と同時に、「国」という後ろ楯を失ってしまった人々(あるいは後ろ楯としての機能を果たしていない国の人々)が、いかに苦しい状況で異境で暮らしているかということについても思いを巡らせざるをえません。逆に自分が当たり前だと感じている(あるいはまだ不十分だと不満を感じている)環境がいかに恵まれたものであるかを感じることができるでしょう。

エンターテイメントとしては太鼓判を押せるほどではありませんが、国(「国家」というよりはもっと抽象的な「国」を想定していますが)というものの「国民を守る」側面を考えるためには非常に良いきっかけとなる本だと思います。