カルロ・ギンズブルグ『歴史・レトリック・立証』(ISBN:462203090X)

逃避的要請により読了。背景知識にやや欠けるために理解しにくい部分もあったが、面白かった。歴史叙述に対する懐疑論への反論であって、簡単に言えばレトリックと立証は必ずしも相反するものではないという話。

あるテクストを歴史のために使うためには、テクストの内的世界とテクストの外にある世界の双方を十分に知らなければならないという至極当たり前のことを言っているのだが、結局はそういうことなのだろう。

これを読んで思ったのは、ギリシャ・ローマの知的遺産というのは思ったよりも現在の西洋文明と直接繋がっているわけではないということ。かなり変形して伝えられているものが多く、かつそれに自覚的ではないようだ。まあ東洋でも似たような所はあるだろうけど。