エラリー・クイーン『Yの悲劇』

Yの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

Yの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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日本で最も好まれているとおぼしきエラリー・クイーンの怪作。海外古典ミステリはアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」がまったく心に響かなかったので、それ以来ほとんど読んでいなかったが、まあ古典を読むことも必要かと思い、期待せずに読んでみた。

有栖川有栖の『月光ゲーム〓Yの悲劇’88』や法月綸太郎「=Yの悲劇」を読んで、てっきりダイイングメッセージものだと思いこんでいたのだが、実際にはダイイングメッセージのかけらも出てこなかったのでそこに一番驚いてしまった。語りが大仰で、探偵役がもったいつけすぎなのは時代のせいだろうか。犯人もわりと思った通りの人物だったが、これが書かれたときには最先端だったのだろうなあ、と思いました。