中沢新一『人類最古の哲学』(ISBN:4062582317)

最近書店で見つけて読んでます。神話人類学という風に分類されるんでしょうか。各地に伝わる神話や民話から「神話的思考」なるある思考様式を抽出しようとする過程を講義したもの、その講義録だと理解しています。

まだ途中までしか読んでませんので、感想は先延ばしにしますが、ある素材を前にしたときの、歴史学との考え方の違いというものが興味深かったです。というのも、シンデレラの話の分析で、「継母がシンデレラに灰の中からマメを取り出させる」というような場面があるのですが、これをこの本では灰とかマメとかいうものが仲介機能を象徴するものとして神話的思考の中に現れることから説明しています。しかし僕がこの話を見てまず考えたのは、中世のヨーロッパにはこのような灰からマメを取り出すといういうようななんらかの儀式・習慣が「実際に」存在していたのではなかろうか、という発想でした。現代の感覚で理解しづらい事柄に出会ったとき、彼らは「意味」を、我々は「事実」を、まず第一に探しているんだろうな、と思いました。