06W杯後のジーコによる柳沢についてのコメントとカズによるジーコの日本代表についてのコメント

知り合いの方から若干古い雑誌をもらった中にあったので、備忘的に。

ジーコ前監督が語る『戦いの軌跡』」『週刊サッカーマガジン no.1117(2007/1/16)』、pp. 34-35

--大会前のドイツ戦で素晴らしい戦いをしながら、本番にかけて崩れていった原因は?

「ドイツ戦は本当にいい試合でした。2-0で勝っていてもリスタートから2点を失う厳しさ、危険な部分も戒めになったはずなのですが…。素晴らしい部分も、課題がまだ解消されていないことがわかった試合でもありましたね。しかし、あの試合で高原、加地がケガをしてしまった影響はありました。ヤナギも同じですね」

(中略)

--ブラジル戦で、それまで信頼して起用してきた柳沢や福西に出場機会がありませんでしたが。

「ヤナギはクロアチア戦で、本来の調子ではなかった。その試合で福西との交代で入った稲本の勢いも、非常に良い効果を与えていましたから。ワールドカップは、一つひとつの試合が決戦。それを考慮して、別のオプションを選んだのです。

ヤナギはオーストラリア戦でも、クロアチア戦でも決定的なシュートを外していたし、本来の調子ではなかった。全くチャンスがなかったのではないし、選手たちの力を信じてはいますが、毎試合が決戦、という中で、勢いのある選手を選ぶことはあるわけです。例えば、交代で入った選手が20分間でいかに仕事をこなすか、5分しかなければ5分で結果を出すか。ワールドカップを戦う選手が持つべき気持ちのあり方というのでしょうか。そのあたりを考慮して人選したつもりです」

本調子でなかったことが強調されています。病み上がりでしたしね。でも起用した以上は、という点は責められてしかるべきかと。

もうひとつ、柳沢は関係ないが全体的なことに関しても少し。

--そのほか、ワールドカップを戦い終えて「こうしておけばよかった」という反省点、後悔は。

「『今持っている力を最大限に出す』『その選手ができないことは要求しない』ということを常に考えて、日本を率いたつもりです。しかし、それまでほとんどなかったのですが、オーストラリア戦で、失点したときに形勢を一気にひっくり返されてしまった。それが非常に残念です」

非常に残念でした。結果的に「その選手ができないことは要求し」てしまったような気がします。

そしてそのジーコの日本代表についてもカズが話しているインタヴューが、同じ号に乗っていたので、せっかくなので。

「カズ『王の現在地』」『週刊サッカーマガジン no.1117(2007/1/16)』、pp. 8-13

--日本代表についてうかがいますが、ドイツ・ワールドカップにおける印象をお聞かせください。

カズ:実力以外のところで、流れや運などがある。オーストラリア戦の最後の数分間がなければ、その後の展開は変わっていたかもしれないですけど、それも日本の実力だと思うんです。クロアチアに引き分けて、ブラジルに1-4。それも順当と言えば順当かなと。メディアの報道が少し楽観的で、みんな期待してしまったところもあったんじゃないですか。冷静に実力差を考えれば、ああなる可能性もあったはずでね。結果的にはオーストラリア戦で悪い方向に流れてしまったけど、それまでの積み重ねが悪かったわけではない。僕には選手たちの気持ちも分かるんでね。あの場で勝つのは簡単ではないですよ。ワールドカップですから。それは大変ですよ。

--ジーコ前代表監督には、そのような印象を受けましたか。

カズ:ジーコは自分の経験してきたものを、自信を持ってやったと思いますね。信頼する選手は何があっても代えない。ヒデであったり、俊輔であったり、彼らを軸にチームを作った。それも賛否両論ですよね。ただ、ジーコは自分が選手だったときにそういう扱いを受けて、気持ち良くプレーできて、あそこまで行ったと思っているから、そうしたのだと思う。グラウンドや私生活で与えてきたものも、自分の経験からだと思う。

 交代策も、まさにブラジル式でしたね。だから、何の不思議もなかったですよ、ジーコのチーム作りは。ただ良いか悪いかは結果によって変わってしまう。ジーコはかなり変わったといいますよね、トルコで。今では自分の信頼している選手でも代えるみたいですから。

--日本代表では、選手の判断に委ねる部分が多かったようですが、そのあたりについてはいかがですか。

カズ:選手にとっては、うれしいと思う。信頼してくれるわけですからね。ただ、ジーコが考えていたほど選手たちは成熟していなかったのかもしれない。日本の選手たちは世界を相手にしても十分に戦えるレベルにあると思っていたはずですから、ジーコは。ヒデが話していましたけど、選手たちが考えている以上に、ジーコは選手たちを高く評価していた。だから、自信を持ってやってほしい。一つひとつ言わなくても分かるだろうと。そのあたりの誤差があったのでしょうね。

(後略)

ほぼ全面的に同意できる内容。カズは、引退したときは指導者になってほしい気持ちもあるけれど、やっぱり解説をしてほしいなあ。