グループリーグ十四日目

グループE

デンマーク 1-3 日本

一言で感想を言うと神懸かり的な勝利。実況では「攻撃の形ができてきた」というふうなことも言われてましたが、前半の立ち上がりは前から追っていこうとする意思が見えたものの、デンマークの組み立てをまったく止められず、危うい場面がいくつかあり、結局リトリートして守備を固める方向へシフトチェンジ。ただ、この判断が(あるいはもともと時間帯で決めていたのかもしれませんが)勝利という結果につながったことは確かでしょう。

逆に日本の攻撃はこれまでと同じく、個人(今回は松井、本田)の気の効いたプレーでの突破が唯一の頼みでした。しかしサッカーは本当にわからないもので、一発のチャンスを本田が決め、二発目のチャンスを遠藤が決めました。遠藤だから褒めるわけではありませんが、この二点目は精神的にも相当大きなポイントでした。本田の一点目は前半のわりと早い時間帯で、デンマーク側も攻撃に手応えは感じていたでしょうから、「二点くらいはなんとかなる」という空気もあったと思いますが、前半30分の時点であと三点とらなければならないというのは、かなり厳しい、がくっとする失点だったような気がします。デンマークの攻撃はそれ以後かなり焦りを伴ったものになったような印象を受けました。

後半は特にこともなし。デンマークは攻撃に出てきましたが、肝心のところで決めきることができず、結局ローングボール戦術へ。正直今の日本には放り込みはあまり友好ではないと思うのですが、やっぱりドイツのときのイメージがまだあるのでしょうか。むしろ前半にたまに見られたような、バイタルの阿部の横のゾーンを使いながら、ミドルシュート、あるいはトゥーリオ、中澤とSBの間を狙うような形の方が嫌な攻撃である気がします。サイドも9人で守られるとそれほど決定的なチャンスにはなりにくいですし。

まあでも一点差にされてからの、本田がディフェンダーを抜き去っての岡崎はしびれました。デンマークのディフェンスがもうまったく機能していなかったとはいえ、本田は後半の後半はほとんど動けていないように見え、個人的には「本田替えた方がいいんじゃないか」と思っていたので、あの一瞬の切り返しには本当に吃驚しました。また、岡崎もよく決めました。あれをあの状況で決めきるのは、キーパーが完全に外されていたとしても、緩いボールで完全に御膳立てされていたとしても、簡単なこととは言えません。試合を決めたゴールでした。

正直、日本代表戦でなければ「凡戦だなあ」という感想の出る試合だったというのが正直なところですが、出場停止も怪我人もなく決勝トーナメントに進めたのはなによりで、このスタイルでどこまで辿り着けるか、楽しみにしています。パラグアイのような足元のテクニックがある南米のチームはこの戦術の鬼門のような気もするのですが、ここまで良い方向良い方向に流れてきたので、なんとか勝ち上がっていってほしいです。