鯨統一郎『新・世界の七不思議』(ISBN:4488422020)

アトランティス大陸やピラミッド、ストーンヘンジなどの「世界の七不思議」を場末のバーに集まった人たちが論議する小説。まあそこそこに読めましたけど、致命的な間違いが一つあって「モーゼはユダヤ人ではなくアラブ人だ」という主張。これはモーゼがエジプトの王宮で育てられたことから実はモーゼはエジプト人だったのではないか、という趣旨でそれ自体はまあアレなのだが、その時代のエジプト人は「エジプト人」であって「アラブ人」とは違う。アラブ人は西暦7世紀のアラブ・ムスリムによるエジプト征服以降、徐々にエジプト社会に浸透していったもので、もともと古エジプト時代に住んでいたのは少なくともアラブ人ではない。

まあそういうところでガクンと本全体の評価が下がってしまうのは仕方ないところか。