古野まほろ『天帝のはしたなき果実』(ISBN:9784061824775)

読了。帯の惹句には「めくるめく知の饗宴、狂おしいまでの超絶技巧」とあるのですが、前半は首肯できても後半には疑問符が付きました。読んでる最中面白かったんですけど、結局意味不明なところに着地してしまったという印象。

あと非常にペダンティックな面が強調されているんですが、僕はどうやらこのタイプの語り口は好きじゃないみたいです。『黒死館』も昔読んだんですが、全然面白味を感じず、最後がどうなったのかすら全く憶えてません。ただ英独仏露それぞれの言葉が使われていて、その部分は読んでいて小気味よかったです。まあドイツ語はそんなに知りませんし、ロシア語はさっぱりですが。中国語もちょっとは出てきましたが他の言葉ほどではないし、中東系の言葉は皆無。まあ需要的に致し方ないのかもしれませんが。

まあでも敢えてもうひとつ付け加えるなら、犯人が平凡すぎる、というところでしょうか。あれだけ特殊な環境にいるのに考えてることが非常に普通。まあ普通の人なんでしょうね、基本的には。うだうだしている主人公にもイマイチ感情移入できず、スカッとしたラストもなく、卓越した天才性もなく。んー。まあでも面白くはあったんですがねえ。そのほとんどは会話の妙かもしれません。