フラッグシップとなる番組を持てるか

 いわゆる旗艦店的なものである。その芸人なりなんなりが、中心的存在として最も自分の持ち味を発揮できたり、自分の思っていることをできたりするような番組。昔は土曜8時に代表されるゴールデン番組がそれであった。ここ20年くらいは徐々にそれが深夜番組に移り、さまぁ〜ずであれば「神さまぁ〜ず」から続く一連の冠番組がそれだったし、おぎやはぎ劇団ひとりにとっては「ゴッドタン」がそれに当たるだろう。有吉は山のように冠番組をやっているが、僕は「有吉クイズ」かな、と思う。不思議なことに、あんなに売れているのにバナナマンはこのタイプの番組を持っていないように思う(以前名古屋で大島麻衣とやっていた「ブログ刑事」「バナナ塾」はそういう位置づけだったと思うが・・・)。
 それを持てる人たちは幸福である。最近では「NEWニューヨーク」もうまくいかず、「霜降りバラエティ」もうまくいかず、「テレビ千鳥」さえ、最初の頃の勢いとは裏腹に、苦戦している(テレ朝の深夜バラエティの競争が激しいという側面はあるにせよ)。その中で、うまくいっているのはオードリーではないか。「あちこちオードリー」だ。そもそもオードリーの本当の本丸はラジオだとは思うが、テレビとしては「あちこちオードリー」の面白さが落ちない。もちろん、本丸が劇場やYouTubeにある人たちも近年では少なくないと思うのだが、テレビに限って言うと、オードリーが最もこの手の番組をうまく手に入れられたのではないだろうか。
 メンバーが変則的ではあるが、「トゲトゲTV」が、お笑い特化型バラエティとして三人にとってのフラッグシップ的な番組になっていけるのか、はたまた夢破れるのか、今はその行く末が楽しみである。